(lantis公式より)
つい2日前をもって少女病はラストライブを終え、活動を終了した。
めっちゃかなC。かなCってか心にぽっかり穴が空いてしまって自分でも驚いてる。ぶっちゃけそこまで好きだったかな?って感じ。
でもよく考えたらめっちゃ好きだったんだなっていう話。
少女病の存在感
ありていに言うとSound Horizonフォロワーである。
サンホラは当時、同人ファンタジー音楽界に物凄い影響を与えたらしい。というかそのジャンル自体を1から規定してしまったようだ。
少女病はサンホラフォロワーとして(別に名乗っているわけではないが)初めての作品を出したのは2007年、私が少女病の作品を聴き始めるのは2009年の事である。結構最近だ(?)
当時の事を思い出すとやっぱりサンホラ"フォロワー"(パクり)と言われてしまうように、どうしても物語の作りが甘いというかのめり込めない部分があって、私は端的に言って浅いと思っていた。
でも後にたくさん聴くようになるのは少女病の曲だった。
理由は単純で、音がカッコいいからだ。
2人の女性ボーカルのほか、声優を台詞やナレーションに起用している。曲調はシンフォニック・ロックを中心とし、物語性やキャラクター性を前面に押し出した楽曲を生み出している。
(wikipediaより)
先日のラストライブのセトリがそうだったのだが、少女病が得意としているのは速くて激しい曲で(実際に収録されている曲としてはゆっくりな曲も半分くらいあるのだが)、それと私の好みが完全に合致していたのだ。
で、浅いな~wとか言いながら十数年も聴き続けていたというわけである。
浅いな~wと言いながら少女病好きすぎる俺
語りっていうのはそういうメタ情報をズバリ言っちゃうんじゃなくて周りくどさが必要で…
有名声優を起用すればいいってもんじゃなくて…
やっぱり新しい音楽性に挑戦してる方が偉くて…(これはもっと好きなアーティストがそういう事をずっと言っていたから、大先輩サンホラは新しい事をめちゃくちゃやり出したから)
って本当に思ってたんだけど、少女病の言語センスっていうか言葉選びがもうめちゃくちゃ好きで、対戦ゲームのプロフィールに書く一言コメントみたいなやつ色んなゲームで全部少女病の歌詞にしてた。しかも全部違うやつ。多分7年間くらい。もう、めっっっちゃ好きやんそれって。
俺氏、狂わされる
フフッ、浅いな~と思いながら少女病を聴く大学生の私。もう何度か聴いたはずの「残響レギオン」のトラック9、真実の解放。
(聴かなくてもよい)
暴虐な魔女の下から逃げ出した少年少女2人、同じくその魔女に兄を殺された声の出ない妹、2作品くらい前に登場してた魔女に抗う少年ルクセイン。がレギオン(軍団)となって魔女を打ち倒す…というストーリーのクライマックスにあたるトラックなんですが
魔女を倒し、昔の仲間と感動の再開を果たしたと思ったら、なんと寝込みを襲ったはずの魔女は死んでいない、どころか、そもそも逃げ出した少年少女は既に死んでいて魔女の力で動いていただけというオチなのですが、その少年少女自身が死んでいると判明した時の少女の絶叫がありえん良くて、その鳥肌が立った瞬間は良かったのかどうかも分からんくて、えっ何この鳥肌は!?って思った。大学終わって溝の口のゲーセンに向かってる時の17時くらいの電車内。
恐怖で強張って出る竦んだ声でもなくて、不審者が出た時に頑張って出す一番大きい声でもない、本当に死ぬ間際くらいしか人間からこんな声出ないんじゃないかみたいな良い演技なんですわ。
落ち着いて分析すると、曲自体もその絶叫に合わせて壮大なオーケストラでサビに入るところだし、何より絶叫が終わり切らないくらいで物語音楽特有の地の文を歌う歌詞が被せるように入ってくるんですよね。演出全てがあってあの一瞬が生み出されてるわけなんですけども。
それからというもの、その少女の声優は伊藤かな恵だから何か類似の作品がないか探してみたり、ホラー映画の名優を探してみたり、悲鳴だけ20分くらい収録されてる同人音声を買ってみたりしたんだけど、真実の解放のあの一瞬に比べれば全然大した事ない。
このたかが同人音楽(金払って毎日聴いてるのに?)の分かり切ったオチがなんでこんな…!って思いながら結局めちゃくちゃ聞いた。
まさしく少女病からしか得られない栄養だけで1日に必要な悲鳴を賄ってた。
わたモテの主人公が声優の罵倒ボイスをレコーダーに入れて延々聴いている描写とか、オリラジ中田が綾波レイのボイスを自分で録って登校中に聞いてたのとかこんな感じなんだろうな。みんなこっそり飯食ってんだよ。残響レギオン発売は2010年だから俺はこの時20歳だけどね。
2016年、突然のHP更新停止
2007-2016まで、半年か1年に1回CDを出していたんだけど、特にお知らせもなく更新が止まってしまった。
少女病はメインメンバーとして主催1人とボーカル2人なんだけど、主催は名前がないしネット上に露出もないから、HPの更新が止まったら情報源何もないわけ。よく考えたら昔って全てのものがそうだったんだけど。
それでたまに思い出したように聴いたりツイッターで呟いたりして2021年まで時は経つ
ハァ…ハァ…突然止まって動かなくなったものを思い出して具合が悪くなってきた…
— ひふみ (@hifumi_justine) 2021年7月16日
少女病…輝夜月…名振りょな…
アクt…
この1か月後にクラファン告知来るよ。2021年の私。
2021年、クラウドファンディングでラストアルバム制作プロジェクト開始
これそもそもよく気付いたなと思う。それこそ公式ツイッターアカウントとかないし…
もう即CD+ライブコースにお金入れた。
この時点でもまだ、浅いな~wってちょっと見下してるわけ。お金入れたのに。普段歪んでるって言葉使わないんだけど、オタクって歪んでるんだなって思った。流石に。
ラストアルバム届く
少女病の物語って魔女が5人いる1つの世界でなんやかんやある、っていうめちゃ手広くて各話の繋がりが薄い感じのスタイル(同人ファンタジー音楽に一番多いスタイルだが)なんだけど、ちゃんとまとめてきた。素晴らしい。
言及してる人がいなくて逆に意外だったんだけど、外で見てるだけの観測者たちと何とかハッピーにしようと奔走する少年に対して「何も知らない少女の頃が正しかったなんて決めつけないで」「あなたが救ったのはあなただけ」って最後の最後でめちゃくちゃオタクが好きなやつやってくるやんけ~
我々が少女に押し付ける願望とそれを一蹴してすり抜ける少女っていうモチーフを、それ話としては面白くないやろ…というくらい理不尽にボロボロにされてきた少女がそれをやるの、重たい。
ラストライブ観る
正直、万が一少女病の関係者がこれを読んだら悲しむけど、最後まで少女病は深くはなかった。
でもラストアルバムの最後にしてライブ最後の曲genesisが流れた時はスッと涙が流れた。
ずーーっとこのセクサリスサーガってシリーズものをCD18枚100曲以上やってきて、ずーーっと暗くてカッコ良くて、でも最後J-POPみたいなどこかで聞いたクソ明るい曲調で、未来の物語を紡ぐためにこの物語はもう終わらせますっていう雑っちゃ雑な〆なんだけど、雑で片づけるには少女病と過ごした十数年はマジで長すぎた。
以前別れで泣けないという話をした事があって、自分は例えば卒業とか葬式とかそういうものに特別な感情があまり湧いてこなかったんだけど、少女病のCDもう出ないんだ、と思った時に本当にスッと声も出ず泣けてきて、これくらい人生の内を占めていたものが終わると別れの涙って出るんだ…と突然別れって言葉が辞書に載った感覚だった。
まさか少女病がこんな貴重な人生に出る体験をさせてくれるとは夢にも思わなかった。
思わなかったとか言ってるけど、少女病大好きなのをさして自覚してなかった自分がおかしかっただけなんよな。好きとか嫌いと言われてる感情は本当に一筋縄では行かないなと思う。
何かに感動するには自分が期待して、入れ込んでいないといけないって自分で何回か言ってる気がするけど本当にその通りやなと思う。
しかし高校生に始まって十数年はズルいよ。今から増やそうたって増やせないじゃん。
だからこそ始まって続いて終わってくれた事に感謝なんですけどもね。ありがとうございました。