見た人用の感想です。
簡単に自己紹介ですが、幼少期からジブリっ子で、宮崎駿が監督をやった長編映画作品を何回も家で見ています。ナウシカ、ラピュタ、もののけ姫は10回以上見てるんじゃないかな。当時画が映ればセリフ全部言えたくらい。
ただそれは小さい頃の話で、ポニョは1回しか見てないし何と風立ちぬは一度も見た事がありません。
映画はlighdar、ゴッシーと見に行ったのですが、ジブリ作品を全然見た事ないlighdarの感想を聞けたのがとても良かった。自分の感想がパキッとした。
端的に言ってジブリ総集編
画だけ見てもジブリのオンパレード。キャラクター造形も、建物も、生物も、小道具も、エフェクトも、何から何までどこかで見たやつ。
非常に楽しかったです。
要するに宮崎駿の自分史
私は宮崎駿という人がどういう人で何を語ってきたのかはインターネット一般人程度にしか知らないので深く分かりかねるけど、ジブリ全然見た事ないlighdarが映画館出て開口一番、「要は大叔父が宮崎駿で、主人公の真人がエディプスコンプレックスを乗り越える話で、インコ大王が本人を取り巻く資本主義者だろ!?」って言い切ったのは頼もしかった。
自分はなまじジブリを見ているせいで、うーんそうだろうけど本当にそうかな?というところでぐるぐるしていたので。
これくらい言えないとクリエイターはやれねえ
これは単に好き嫌いの問題かも知れないけど。
元の世界に帰ってきた時に、宮崎駿ワールドの一部であろうピースを持ち帰った演出は、要するにこの宮崎駿魂は継承されなかったけど、この世界に爪痕は残してやったぜ!って意味なわけで、それ自分で言う~!?って気もするけど、それ言えないようじゃクリエイターは出来んだろ。と俺は思う。クサくはある。
で、君たちはどう生きるかはジブリ総集編自分語りなの?
そうなんだけど、そうではない部分もあるカッコいい最終作だと思う。
インコ大王に宮崎駿の宇宙(石の積み木)を壊させるやつはまあ制作の裏側のなんやかんやなんだろうけど、今作はジブリの金だけで作って上映してるらしいじゃないですか。それならまあいいよね、みたいな。
で、ちゃんと、君たちはどう生きるかで新しく提示された独特の表現であるとかメッセージがあると思っていて、それが単なる総集編じゃないと思った理由になるわけですが…以下の通りです
今風マルチバース
ジブリ作品よく異世界に飛んだり現実と幻想の境が溶けたりするけど、マルチバース的演出は無かったもんね。上手く今時の潮流を取り入れて描いたのは良いなあと思った。
大叔父が作った宇宙、輪廻転生、死と生の狭間である黄泉、現実ではない逃避先、冒険と戦い、今回やりたかった事やジブリらしさを全部まとめあげるのにぴったりだもんね。
かつての敵との和解、戦友
はい、ここが今回のサビです。
見終わってlighdarとゴッシーと語らって帰る間考えてたんだけど、君たちはどう生きるか固有のテーマって俺はこれだと言っていいと思う。
かつて敵対心をむき出しにしていたアオサギと宇宙を旅して、一緒に戦ってまさに戦友となって旅を終えたわけだけど、ジブリの作品でかつての敵と最後に和解する事ってないんですよ(ないよね?)
まあこれも一種の"俺のようになるな"(大叔父は友達がいなかった)なのだとバッサリ斬るのもありだけど、これだけたくさんの作品を作ってきて、それらの決算みたいな話をやって、初めてやった事がこれって俺は重く感じたんですよね。だからキービジュアルもアオサギなわけ。
アニメーション
冒頭の火事に向かって走る真人のシーンはなんか独特で良かった。知らんけど。
よく分からなかった謎
話の筋は分かったけど、ひとつピンと来なかったのは、わらわらを育てているキリコのこめかみの傷は何だったんだろう?っていう
他の同名キャラクターであるとか違う名前だけど明らかに血縁関係にあるとかは世界を移動した姿だとか輪廻転生のどこかの姿であるみたいな説明で良いと思うんだけど、何故キリコが真人と同じ傷を持っている(似ている?)のかは全然分からなかった。
異世界に飛ばされて最初のまともな人間との出会いだから、この異世界の説明として、名前が同じなのはたまたまではなくて真人と何らかの繋がりがあるそのキリコですよ~って意味だとか…いや絶対そんな気がしないな…
全編通して画からもキャラからもセリフからも香ってくるジブリが大変良い作品でした。
何か、幼少期に見てきた作品群の大がかりな最終作を見る体験が自分にとって初めてだったようで、非常に満足です。