続・ひふみは教えたい
押し付けと親切のライン判定が厳しくなってきた昨今だが、講義や本のような対多数の言葉よりも私個人にかけられた言葉たちに人生を動かされてきた私としては、何でも自分で決めますから"アドバイスお断り"という基本ルールが制定されてしまうのは悲しい。
いやいやありがたい友人から頂くアドバイスと厄介な外野のヤジは別だよ、と思われる方もいるかも知れないが、それが自分に不必要だから厄介だと認識しているのか、ただ耳が痛くて聞きたくないだけなのかは見極める必要があるように思う。
ただ、"アドバイス"というのは弱い立場の者ほど受けやすい事は忘れてはならない。私は最もかわいそうでないポジションにある異常独身男性であるから、例えばゲームが下手くそな人気Vtuberとは正反対だ。
だが、そうして"アドバイス"を受けられないからこそ求めるようになる、というのは自然に思える…
書いていたら何か分かるかなと思ったけど特に何も分からなかった。
いくつかのゲームを教えた時に感じた事から始めます。
サイゼミ格ゲー部
数か月前、格ゲーをやった事ない2人がストリートファイター5を始めてくれて、現在も続けてくれている。他にも別ルートで同じく初級者的な人が外からやってきて、数人のコミュニティになっている。
私は誘った責任、じゃないけれど自分の遊び場を自分で確保し続けるためにみんなの対戦を見てアドバイスをしている。
私と実力差がかなり開いているので当然ではあるが、一言で対戦内容がガラリと変わる事も多く、我ながら的確なアドバイスが出来ているように思う…
が、ある日の雑談でハッとする事があった。「やっぱり格ゲーって難しいですねぇ、こんなの自分では気付けない」
もちろん10年単位で遊ばれてきたゲームなのだから、先人が積み上げてきた戦略を1人で発見するのはほぼ不可能だし、サイゼミ格ゲー部の皆さんは賢いので1人では気付けない事は分かっているはずだ。それでもそのような言葉が口をついて出てしまうようだ。
私は、全然勝てなくて困っているから今勝たせる、次の一歩が分かってなさそうだから階段の次の段を用意してあげる、という事を意識してアドバイスしていた。それは結果に結びつくアドバイスではあるが、自発的に気付く機会を奪う行為でもあった。
何をやってもよい、自分で工夫する事が出来る、と言う割には、もっと強くなるまでこの道は一本道ですよ、という印象を与えていたような気がする。
多分、具体的な回答を与えすぎだった。「こんなの自分では気付けない」を言われたのは以下の場面で、今思えば答えを出すにはかなり経験が必要な場面だった。
Q.ベガを使っているがキャミィに立ち回りで絶対先に触られてしぬ
A.ジャンプしろ。(キャミィの飛びが強すぎるからそもそも付き合ってはいけないのに待ちを選択していては埒が明かない。またベガの通常技の長さを活かせるレベルにないし、飛びが強い距離を見極めるのも無理なので地上で止めるのは却下。しかしキャミィ側も様子見を挟んでベガを動かすほどのレベルでもないため、こっちもジャンプする事で解決出来る)
これだったら、ジャンプしろじゃなくてキャミィの飛びは強いから受けるのはそもそも無理なんだよ、という知識を伝えるのが正解だ。知識はあればあるだけがいいが、先に飛べというのは無意識に自分と相手のキャラ、お互いの実力、試合の様子を見て神視点で判断してしまっているので、完全に答えだけ教えてしまっている形だ。
この具体例の答えが分かったから良かったね、ではなくて、やはり答えだけ教えるアドバイスというのは劇薬で、一見正しそうに見えるものだが結果をすぐ求めてしまう人間恐ろしいという事だ。
格ゲー界で人気のこの画像だが、泣くのも分かる。(何様?)壁を超えたら超えた達成感に浸る時間も人間には必要だ。
一本道を歩くだけの作業はゲームでも何でもない、というのはもっと深く心に刻まねばならないと思った。
森カリオペの新曲がドバっと出た
カリオペちゃんのファンを始めてもう1年と2ヵ月ほど経ち、当初期待していたよりも活躍していてかなり嬉しい。
様々な企画においてぱぱっと手厚いサポート付きのものが次々繰り出されるのは、本人ではなくホロライブの母体が思ったより色々な場所に手を伸ばしていてノウハウが蓄積されているんだなと感じている(もちろん、あらゆる方面でドカドカ燃えた事とか含めての皮肉でもあるが、それを生き抜いた事を褒めてもいる)
要するにコンテンツの上澄みを啜っている。
今月出た新曲は兼ねてより本人、ファン(俺?)待望のVOOGEY BOXXとのコラボ曲が2つ、アイドルなら避けるなK-POPのK/DA、物理的に集合出来ないため色々と難航していたHoloMyth5人同期コラボ曲、井上拓氏のVtuberをフィーチャーしたアルバムに1曲提供
音楽が好きで推しているところがあるので、配信をやりつつ新曲をこれだけのペースで出してくるのは本当にありがたい。
その他音楽以外の企画だが、個人的には酒企画が面白い。
ここでは自分の強みを完全に理解しておられて、狭いキッチンでドタバタしながらカクテルを作って全部飲むハロウィンパーティーが結構面白かった。
栓が開かず風呂場で叩き付けるカリオペ。彼女の伝統芸
真の姿が公共の電波に乗ったら、リスナーが全員死ぬから反射には気を付けているとの事。
そういえば私にはあまり分からない感覚だが、こういったバーチャルキャラ独特のロールプレイを好む人は結構いるようだ。カリオペは死神として結構設定が固まっていて、真の姿を見たら死ぬ、本当は無限に働いていたいが時々休んでいるのは人間形態の身体が耐えられないため、などが人気がある。
ちなみに私は体調を心配するファンとハードワーカーのストリーマー、という構造があまり好きではないのだが(まさに我々が面白いコンテンツを享受している事と本人がハードワーカーである事はイコールであるため)それを差し引いてもカリオペの活動時間は凄まじいので、無限に働けるが人間形態の身体がそれを許さない、という設定は心配しか出来ないファンを黙らせるのにイイなと思っている。
「The Grim Reaper is a Live-Streamer」はその設定群を表した曲で、死神は常に隣にいるのに誰も気づかない、森カリオペが街を歩いていても誰も気づかない事を歌っている。私はVtuberアーティストがバーチャルな存在である自身に言及する曲、の事を勝手に"自己紹介曲"と呼んでいて(ヒメヒナのヒトガタ、星街すいせいのGHOSTなど)これも自己紹介曲の1つだ。RIPに飽きたらこちらを聴かれるとよろしい。
何か長くなったのでホロENがVRCで遊ぶ事を3Dコラボと称してわちゃわちゃしている事と、日本語圏と英語圏のVtuberに感じた、今まで気づかなかった違いに関してはいつ来るか分からない次回書こうと思う。
グレイディーア登場
ガシガシネタバレします。
一旦休止していたアークナイツだが、グレイディーアの登場で帰ってきた。
話が長い+100点
— 陸生生物ひふみ (@hifumi_justine) 2021年10月21日
181cm+100点
顔がいい+100点
強い+100点
ですわ+100点
踊る+100点
長すぎる武器+100点
あらゆる服飾がバサバサ+100点 pic.twitter.com/uNhFahu5WZ
ビジュアルと設定もさることながら、ストーリーも期待を裏切らない出来で素晴らしかった。
無限にスマホゲーキャラがいる昨今、好きになれるかどうかは「嫌いな点がどれだけ無いか」にかかっている。好きな点がたくさんあるキャラは無限にいるからだ。
グレイディーアのような超ハイスペックお姉さんキャラにはいくつか引っ掛かりやすいハードルがある。
無口になりやすい
無口でも魅力的なキャラは勿論いるのだが、何も語らない故に何も分からないからカッコ良く見えるでしょ?というキャラ造形はダメだ。デザイナーの怠慢である。
短い時間とボイスで魅力を伝えなければならないスマホゲーにおいて、背中で語るのがカッコいい時代は100年前に終わっている。
グレイディーアは結構ペラペラ喋るし、話が長くてホーム画面のセリフの大半がスクロールしてしまって読みづらいのは大きな加点だ。
実は優しい、という属性が付与される
優しい側面がある事には何の問題もないし、全く無ければそれはそれで別の問題もあるのだが、その優しさがキャラの"隙"として描かれる事には到底耐えられない。ハイスペックで近寄り難いから隙を見せますって政治家じゃないんだから。現実世界でやってろ。
グレイディーアはアビサルハンターの隊長として基本的に部下に優しい面は見せるものの、本人にも目的や使命があり、どんな相手に対しても対立し得るという所をストーリーで見せてくれたのはかなりアツい。
女女関係に回収されがち
これはそもそも世の流行として女女関係がウケやすい、単に男をオミットした方がウケやすい、という真理のせいではあるが、本質は性別ではなく、自分以外の何かに依って生きているキャラが終わっているという事だ。
アークナイツのオペレーターも驚異の女性率である都合上、同僚(女)の前からお姫様抱っこで同僚(女)を連れ去る女として登場するが、結局グレイディーアの目的は同僚でも他人でもない。そこがイイ。
こっち(あっち)を向いてくれる要素なくなりがち
これが私の大変面倒なところで、強いキャラには我々など放って強くあって欲しいのだが、それを突き詰めた所にあるのはただの他人。憧れの先輩を遠くから見守っているだけのモブと同じだ。そうなりたいわけでもなく何らかの関係は欲しいし、孤独であって欲しいわけでもない。
そこを上手く拾ってくれたのが、グレイディーアもドクターも指揮を執る隊長である事と、趣味が踊りである事、だ。
ラストの信頼度セリフは沁み入りすぎて、クネクネしながら適当にYostar本社がありそうな方向に深く一礼してしまった。皆も適当にWikiとかで調べてクネクネしてるひふみを蹴ってゴミ箱に捨てといて欲しい。
踊りが好きな下りは別に深くも何ともないのだが、そう言われてしまうとそれ以外ないだろうと思える設定だ。
皆まで言わずとも随所に散りばめられたイケメン過ぎる設定、怪物由来の高すぎる身体能力…
そして、大きな力に飲まれて死にゆく自分、という発言をさせた上で、人の命を超えて継がれる表現としての踊り、というグレイディーアの趣味にクネクネ出来るのは、常に死と隣り合わせであるアークナイツという舞台のおかげだろう。
オタクが大好きなやーつ、ではあるが、平和な世界で理不尽とダンスはなかなかキツい。
最後に
イベントのカットがイケメンアピール全開でめくる度にキレていた。
これは重要な人物を勝手に誘拐するシーン。どう見ても違う。サービスカットである。
これは自分の古傷を見て自虐する顔。どう見ても違う。サービスカットだ。
場面と画が出してくる情報がちぐはぐ過ぎるのに、カッコいいから脳が許してしまって床でクネクネしていた。
人間の余裕
こないだご飯を食べている時に、結局資本主義を批判している人ってある程度資本主義の勝ち組にいる側なんですよねギャハハって話で10秒盛り上がった。
結局金に余裕があるから金に関するシステムを批判出来る、暇だから他人の時間にどうこう言って楽しめる、不安に追い詰められてないから自由を扱える…
自分は上の例で言う金、時間、精神のどれも余裕があったり無かったりしてきたから分かる事だけど、やっぱり有る無しのどちらかを体験していない人はどちらかが分からないよね、という事を思った。
ここまではいつもの話だが、気になる事がある。
「真に金銭的に困窮したことがないのは絶対にいつか足枷になる」という謎の恐怖感をずっと持ってるけど、生死を分けるレベルでお金に困った経験がある人はむしろ少数派なのではないか?
— [射抜け♡ゆめかわ騎兵]Ford (@fofoford) 2021年10月30日
常に有る側という自己認識を持っている人もまた、有る無しのどちらかが分からない人、にあたるので不安なのだ。そういう不安を持つ人ときちんと話す機会はとても少ない(する必要に駆られないため)ので、機会があればしていきたい。かも